元経済ヤクザが明言「副業で株式投資は滑稽だ」

 

参考に~(^o^)

副業といえば思い浮かぶのが株式投資。しかし、AI時代の到来により状況は大きく変わっている。個人投資家が株で儲けるというのはお手軽な副業なのか。元経済ヤクザの評論家・猫組長が解説する。

 

■まばたきの間に取引を先回りされる

 2019年11月18日の日本経済新聞電子版で、株取引で個人投資家が置かれている現状を如実に表す一件が報じられた。問題とされたのはSBI証券。19年10月から利用者が注文を出しても、狙っていた値段に先回りされ約定できないケースが増えたという。

 

 SBI証券に発注すると、最良価格を提示する市場を判定して自動執行される。この優先執行の仕組みは「SOR」(スマート・オーダー・ルーティング)と呼ばれるが、SBI証券では「ジャパンネクストPTS(私設取引システム)」を通じ、自身の「第1市場(J‐Market)」→「第2市場(東証)」という順番で巡回して判定を行っていた。当時SBI証券のアプリでは、「SOR」がデフォルトとなっており、ほとんどの利用者がこのシステムに流れていたことになる。

 

 またジャパンネクストPTSはSBIグループが約半数の株を所有する傘下会社だ。19年10月からSBI証券は、個人投資家の売買注文に基づいて、東証などジャパンネクストPTSの巡回先の市場に先回りして売買していた。そこで約定できなくなる利用者が出てきたということだ。

 今回取り上げたいのは、この取引にHFT(高速高頻度取引)が利用された点だ。一連の取引は100~300ミリ秒で行われている。まばたきが約100ミリ秒なのだから、まさに一瞬だ。1回の取引利益は銭単位になることがほとんどだが、終日HFTを続ければ莫大な利益となる。ミリ秒での取引には専用のアルゴリズム、高速演算できるコンピュータ、超高速回線などが必要だ。ここに独自の情報元、銘柄選定や予測などを行うAIが連動して、巨大資本を背景に利益を上げている。それが現在の最先端の投資の世界だ。そしてこれらは、機関投資家やファンドなどの標準装備となっている。

個人投資家は無抵抗な養分にすぎない

 この捕食者を前にすれば、個人投資家は無抵抗な養分にすぎない。この現状を熟知している私の目には株式投資を副業にするという発想自体が滑稽に映る。現在の私は企業や銘柄、トレンドなどを分析する「王道の投資」を楽しんでいる。失敗もするが、それも含めて楽しめるのも自身の投資顧問会社「NEKO PARTNERS INC」が標準装備の武器を保有しているからだ。万人が用意できるものではない。

 手数料が無料に近いネット証券会社が林立したおかげで株式投資家人口が急速に拡大している。だが、格安の手数料で証券会社が運営できるのかと疑問に思わない新規参入者がほとんどだ。証券会社は慈善事業ではない。SBI証券が利用者の情報をもとに先回りで利益を稼いだのは、格安で利用できる代償といえるだろう。

 投資をこれから始めようとする人に会うと、「株式投資でどのくらい儲けられるのですか? 」と尋ねられることが多い。リターン(利益)は投下する資本量によって大きく異なる。したがって、「いくら資金があるのか」のほうが問題だ。この種の不毛な質問をする段階で、投資に手を出すべきではない。15%の利益を得ることは比較的容易だと思えるが、私が「王道の投資」のために使う時間は、副業レベルの短時間ではない。10万円程度の資本しかないのなら、本でも買って知識を蓄える方向に投資したほうがよい。そうすれば「いくら儲かるか」という質問が、いかにナンセンスであるかも理解できるだろう。

 

個人投資家がAIと戦うならこのエリア

 では個人投資家は諦めればよいのか――答えは半分イエスだ。捕食者の生息域ではなく、いないところで投資を行うのが最良の手段ということだ。その1つが中長期を狙った投資だ。銘柄選定においては、その企業の成長力が大きな鍵になるだろう。中長期で目的のリターンが成立するまでには、HFTやAIが介入する場面があるかもしれない。だが、そのときの最良の選択肢は無視だ。企業が読み通りに成長さえすれば、株価は付いてくるのだから。

 HFTはミリ秒の時間軸でトレードするのだから、値動きの幅が大きければ大きいほど有効に機能する。少し前の大塚家具や日産などがこの典型だ。スキャンダルを起こした企業銘柄は値動きが激しく、捕食者がもっとも好む生息域だ。逆にいえば低リスクでローリターンな値動きの小さい投資先に、捕食者は興味を示さない。具体的には「ETF」(上場投資信託)や、「原油ブル」(NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油ダブル・ブル ETN)などだ。

 

 人に任せたほうがいいという考え方もできるが、日本ではそれがうまくいかないのが実情だ。問題は銀行にある。日本の銀行窓口がお金を数える役割程度しかしないのに対し、海外の銀行では顧客ごとに「オフィサー」が付き、積極的に投資先をマッチングしてくれる。金融商品の選択肢も多い。顧客の求めに応じて好みのデリバティブを組成してくれる。この際、手数料や運用益の一部は、オフィサーの収入源になる。そのため、オフィサーは真剣に顧客の資産運用を行ってくれるのだ。

 ここまで読んで、お金を儲けるためにはお金が必要なのかと思う人も多いだろう。それは正解である。お金を儲けたければ、お金がある場所にいなければならない。たとえばフェラーリにはオーナークラブがあり、そこにはフェラーリを購入するような富裕層が集まっている。その集まりには一般人が知りえない情報が落ちているチャンスがあり、よい投資に繋がるというのが好例だ。ヘタな投資を行って養分にされるくらいなら、こうした層に近づくための貯金こそ有効な自己投資の手段だと、私は考えている。

株式投資における情報の希少性の重要さ

 投資を必勝にする要素が、希少性の高い情報であることは言うまでもない。1人より2人、2人より10人と、その情報を共有する人間が増えれば、情報価値は下がる。日本経済新聞に掲載された情報など、感度の高い投資家にとっては鼻紙以下である。したがって情報を持つ人こそが、もっとも価値の高い情報集積体ということになる。

 私は「これは!」と思った高学歴の学生には惜しまず援助をする。中央省庁や金融機関、証券会社、一部上場企業などに就職した優秀な元学生たちは、私のアセット(資産)だ。600億円の利益を生んだ石油ビジネスへの参入も、大手証券会社に勤務していたあるアセットからの情報がきっかけだった。

 

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猫組長(菅原 潮)
山口組系組長
現役組員時代にはインサイダー取引、石油取引で莫大な金額を動かした。2015年の山口組分裂時、ツイッターで内部情報を発信し続けた。現在は自身の投資顧問会社「NEKO PARTNERS INC」を設立し、経済評論家としても活動している。