🎇バカ売れ「AI投信」に退職金2000万円をぶち込んだ男性の末路☔

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バカ売れ「AI投信」に退職金2000万円をぶち込んだ男性の末路

AI市場と株価をめぐる、決定的勘違い

定期預金を作りに行ったら、銀行員が勧めてきた

最近、投資信託の販売現場で人気なのがAI(人工知能)関連の投信です。

AIに関する世界各国の企業を中心に投資をして運用する商品が主で、なかにはあまりの売れ行きから一時販売停止する人気商品まで出てきています。

いま売れていて人気の商品なのだからと、思わず飛びつきたくなるのはわかります。

ただ、これまで3000人以上の投資家の資産運用を見てきた私からすると、この現象は非常に危うく映るものです。

はたして、いま「AI投信」を購入するのは、資産運用として正解なのかどうか。

まずは最近、人気のAI投信を購入したAさんのケースを紹介しましょう。

60歳になるAさんは長年勤めた会社で定年を迎え退職金を手に入れました。

長かった会社員生活に一段落ついたので今はほっとしていますが、人生100年時代だとか、老後に必要な資金は夫婦で5000万円かかるだとか、

年金が減る時代が来るとか……、まだまだ長い老後への不安を抱えていました。

そのため奥さんと今後の資金計画を考えていました。

資産運用をしてみることも考えましたが、自分で調べてみても種類が多すぎるし、結局何を選べばいいのかわかりません。

とりあえず一旦は定期預金にでもしようかということで、ネットで「退職金 預金」と検索したところ、

三ヵ月円定期預金で金利が5.5%といった非常に魅力的な銀行の退職金向け優遇金利の定期預金の案内があったため、さっそく面談予約を取り、銀行に訪問しました。

訪問先の銀行では定期預金の説明もそこそこに、資産運用の話を切り出されました。そして銀行員からAI関連の投資信託の案内を受けました。

これまでに持株会を除いて株式や投資信託に投資をしたことのないAさんは、漠然と投資に対して不信感がありました。

銀行員の話では、今後の発展が予想されるAI関連の企業に投資をする投資信託なので、「将来性がある」という説明でした。

これまでにインターネットをはじめとした新技術の発達によりマイクロソフト、アップル、アマゾンやフェイスブックなど飛躍的成長を遂げた企業が数多く誕生しました。

そうした革新的な企業の歴史や、発展が見込める有望市場に投資することの意義を銀行員は強く強調してきたそうです。

そして、自分の考えを銀行員に伝えたところ、「そうですね、私もそう思います。みなさんAIの将来性を評価しているから、この投資信託は一番人気の商品なんですよ」とのこと。

一番人気と聞きAさんは何となく安心しました。そしてAさんは紹介されたAI関連ファンド2000万円の購入を決めたのです。

翌日から毎朝Aさんは新聞で購入した投資信託の基準価額をチェックしていました。購入から数ヵ月経つ現在は10%程度評価額が増えています。

自分の資産が増えていくのを目の当たりにしてAさんは上機嫌。数ヵ月で資産が10%(200万円)近くも増え、「この調子でいけば本当にゆとりのある老後が過ごせる」と期待を大きくしています。

Aさんの購入した投資信託の基準価額は購入後、短期間で約20%上昇した(出所)ブルームバーグデータより、ファイナンシャルスタンダード作成

実際、上記のグラフがAさんの購入した投資信託の価格推移です。

資産運用を始めて、数か月で資産が200万円近くも増え、Aさんの資産運用はまさに上々、そして未来はハッピーそうに見えませんか? 

しかし、このAさんのケースは、じつは資産運用で「失敗」する典型的なものなのです。

なぜかといえば、Aさんは投資を行う上で大きな勘違いをしているからです。

おそらくAさんは数年後、数十年後に大きく後悔することになるでしょう。

売れ「AI投信」に退職金2000万円をぶち込んだ男性の末路

AI市場と株価をめぐる、決定的勘違い 

半値以下に暴落した「投信ブーム」の教訓

いま投資がうまくっているのになにを言っているんだと不思議に思われる方も多いでしょうから、以下、順を追って説明しましょう。

まず投資をするうえで絶対におさえておかなければいけないのは、「(AIの)市場が拡大することと、株価が上がることは無関係」ということです。

Aさんは、「AI市場が拡大する」→「だからAI関連の企業の株価を集めて運用している投資信託は値上がりが期待できる」と考えていますが、じつはこの考え方が非常に危険なのです。

具体例で確認してみましょう。

2000年代経済界のトレンドの1つとして、クリーンエネルギーの将来性に注目が集まったことがありました。

そして世界中でクリーンエネルギーの関連企業が注目され、それらの企業の株価は一気に上昇していきました。

太陽光発電の将来性を見据えて、太陽光パネルを製造している企業の株を買った投資家も大勢出てきました。

そんな投資家の予想通り、太陽光発電の市場はその後急速に拡大していきました。

日本でも都市部から地方まで広く普及し、住宅の屋根・工場の屋上・商業施設の屋上など様々な場所で太陽光パネルをみるようになりました。

しかし、そうして太陽光発電が市場拡大していった裏で、株式市場ではまったく別の動きが起きていたことをご存じでしょうか。

2012年4月、太陽電池の開発・製造などの大手企業であるドイツのQセルズという会社が経営破綻したのです。

Qセルズは高効率ソーラーパネルのセルの生産量で07年、08年は世界1位の大手企業でした。

しかし、魅力的に見える市場には次々と新規参入の企業が現れます。

Qセルズは低価格の中国メーカーとの価格競争の激化、ドイツ政府の太陽光発電電力の買取価格の見直しの影響を受けて、市場は拡大しているにもかかわらず利益を上げられない状態に陥ってしまったのです。

魅力的に見える市場には多くの新規参入企業があり、価格競争が起こります。

すると企業は期待されたほどの利益が出せずに、その後、株価は暴落していきます。

つまり「市場規模の拡大=関連企業の株価上昇」というわけではないのです。

次のグラフは世界の太陽光発電設備への投資額と、ソーラーパネル製造・販売の世界的大手企業であるファーストソーラーの株価の推移を示したものです(Qセルズは2012年経営破綻したため、

同業大手他社であるファーストソーラーの株価を掲載しています)。

太陽光発電への投資額(市場)は急拡大しているのがわかります。

しかし実際に市場が大きくなるころ、ファーストソーラーの株価はすでに高値の時の半値以下になっているのです。

銀行で投信を買うとマジで損するのか聞いたら…銀行の「意外な答え

「新商品」「人気商品」は買ってはいけない

クリーンエネルギー市場に限らず、人気化している市場では期待先行で関連企業の株価が大幅に上昇するものの、その後に株価が暴落するというケースは多くあります。

たとえば2007年頃に中国株式ファンドを購入して、その後、損した投資家は多いのではないでしょうか? 

2010年代前半にはシェールオイル・MLP関連ファンドを購入して損をした投資家も多いでしょう。

現在、中国のGDPは当時より拡大していますし(市場規模は大きくなっています)、米国のシェールオイルの産出量は当時より増え続けています。

しかし、それと株価は別の話。市場規模の拡大を想定して関連企業に投資をし、その後、想定通り市場が大きくなっても、人気化して高値の時に株を購入してしまった場合には、投資としての成功は見込みづらくなるのです。

投資の世界では「新商品」と「人気商品」を購入してはいけないのが鉄則です。

その理由は、新商品とは「企業(運用会社・販売会社)が“これは売れる”と思って作る新しい商品」のことだからです。投資の世界では、みんなが「良い!」と言っているものを後から買うことほど危険なことはありません。

人気商品と言われる商品は、さらに注意が必要です。「人気がある=(期待先行で)すでに価格は高値になっている」というケースが多く、今が絶頂期で、あとは下がるだけということはとても多いのです。

2017年は、春ごろからビットコインに注目が集まり、価格がどんどん上昇して、日本中でビットコイン長者が誕生し始めました。

そして秋ころには日本中でビットコインの話題を目にしない日はなかったのではないでしょうか。

しかし、2018年に入ると2017年の急騰の反動で、今後は大幅に下落しました。年末の高値で購入してしまった投資家は短期間で大きな損失を抱えてしましました。

このようにみんなが「良い!」「すごい!」と思う頃にはすでに価格は上がっていることが多いため、人気商品には注意が必要なのです。

私は今後、AI市場や、省人化に伴うロボット市場はますます拡大していくと想定しています。

しかし現状の株価に目を向けた場合、期待先行で株価が上がっている企業が数多く存在するとも考えています。

なかには創業から一回も利益を出していないベンチャー企業でも異常に高い株価がついているケースも散見されます。

もちろんその後、革新的な技術の開発や量産化に成功し、大成功をおさめる企業も出るかもしれません。

しかし、そうした企業への投資は単に市場拡大を予測して行えるレベルではなく、もっと専門知識が必要になります。

私が代表を務めるファイナンシャルスタンダードでは、個人投資家から資産運用の相談を毎日受けています。

普段、個人投資家が資産運用を行う際に陥りやすい注意点がいくつもあると感じています。

今後も個人投資家が資産運用を行う際の注意点や勘違いなどについて、現場のプロの目線から解説をしていきたいと思います