🌱「合理的へそ曲がり」式日本株投資のススメ🐦

⚡市場がパッとしないときは「長期投資」を想え! 

⚡市場がパッとしないとき、投資家はどうするといいのか。

「市場のことを忘れているといい」というのが有力な解決策だが、

わざわざ本欄を読まれている読者にとって、これは有効ではなさそうだし、賢い方法でもない。

別の方法として、「長期投資について考える」というやり方がある。

「短期」が冴えないときには、「長期」に意識を移すのだ。

筆者は、運用や経済をあれこれ論じることを仕事にしているので、「長期」というと、

「『長期投資だから、長い目で見てください』は、ファンドマネジャーの言い訳の定番だな」とか、

「経済学者は、『長期』と『短期』使い分けて怪しいことを言うから気をつけねば」と半ば反射的に皮肉が思い浮かぶのだが、これは単なる職業病だ。

素直な投資家の皆さんは、相場が冴えないときこそ、

株式や投資信託(手数料の安いインデックスファンドがいい)をじっと保有し続ける長期投資のメリットを確認しておくといい。

まとめると、以下のとおりだ。

🎇【長期投資の5つのメリット】

🎇(1)投資とは自分のおカネを経済活動に参加させて働かせることなので、長期間働かせるほうがより大きなリターンが期待できる。

🎇(2)利益が出ている場合に投資の一部ないし全部を売却すると税金を取られるので複利効果が薄まる。

🎇(3)売り買いすると余計な手数料が掛かるので、じっとしているほうが得だ。

🎇 (4)「いったん売って、安値で買い戻す」のは難しいから、じっとしていよう。

🎇(5)投資に空白ができている間に株価が上がるのはよくあることなので、もったいない。参加を続けることが、たぶん得である。

株価が下がるのは、悪材料があって下がるのだが、現在の株価に対して悪材料の反映が不十分なのか過剰なのかの判断は、誰にとっても難しい。

結局、「現在利用可能な情報と判断は、現在の株価に反映しているのだろう」というくらいに考えて、

株式市場と付き合い続けるのが得策だろう(「絶対」とは言えないので、語尾は「だろう」としておく)。

たとえば、現在、米国のドナルド・トランプ大統領が仕掛けた貿易摩擦が株式市場の懸念となっているわけだが、

長期投資家風には「現時点で見えている貿易摩擦の悪材料はすでに現在の株価に織り込まれているのだろうし、

この先貿易摩擦がどうなるかわからないのだから、売ったり買ったりする理由がない」と考えているといいし、

あるいはさらに踏み込んで「トランプがいつまでも大統領でいるわけではないし、保護貿易が不利益なら、

将来保護的措置は撤回されるだろうし、その場合の株価へのプラスのインパクトは大きいはずだ。

長期投資なのだから、慌てるには及ばない」と考えてみることができる。

投資のコツは「合理的へそ曲がり」

「投資のコツは何だ?」と問われたら、筆者は、「『合理的へそ曲がり』であることだ」と答えたいと思っている。

チャンスは、「心理的・感情的にはやりにくいが、よく考えてみると合理的だ」という選択にある。

「人生にあってもそうなのだよ」とまで大風呂敷を広げようとは思わないが、株式投資のようなゲームにあっては、基本的な発想法だ。

そもそも、株式投資が儲かる根本原理を利用すること自体が「合理的へそ曲がり」に近い。

理論上、株価は、予想される将来の利益を現在価値に割引いて評価したものの合計だと考えられるが、

この際の「割引率」には、リスクを負担する嫌な気分を補償する追加的な期待リターンである「リスクプレミアム」が入っていると考えられる。

これが、無リスクの資産に投資する金利よりも、株式投資のほうがリターンは高いと期待できる理由だ。

無リスク資産の金利が0%、リスクプレミアムが5%なら、割引率は5%だ。

たとえば、将来の一株利益がずっと100円だと予想される株式の理論株価は、2000円だと計算される

(100÷0.05=2000)。この株式に2000円で投資する場合の期待リターンは年率5%だ。

リスクプレミアムがなぜ存在するのかというと、投資家がリターンの変動を嫌うからだ。

近時のような株価の下落は、投資家としては「嫌な感じ」がするものだが、この「嫌な感じ」の確かさこそが、

株式投資に高いリターンが期待できる理由なのだ。

昔、まずいけれども体にいいことを訴えた、「キューサイの青汁」のCMがあったが、株式投資の正しい気分はあれに似ている。

「う~ん、まずい。もう1杯!」くらいの心持ちがいい。

特に日本株投資に不安を覚える方が気にするポイントについて、「合理的へそ曲がり」流の解釈を2つお伝えしておこう。

■低成長な日本経済を愛するべし

まず、「今後人口が減るので経済成長率が上がりにくい日本株に投資しても儲からない」という意見に対してはどうか。

「合理的へそ曲がり」は、将来の利益成長の予想が、低くても、高くても、それが現在の株価に反映しているなら、

株式投資へのリターンはおおよそ同じはずだ、と答える。それは、成長率がマイナスでも同じだ。

先の、割引率が5%で、一株利益が100円の株式の理論株価を考えるとして、利益成長率が+3%なら株価は5000円だし(100÷(0.05-0.03)=5000)、

利益成長率が-3%だと株価は1250円になる(100÷(0.05+0.03)=1250)。

それぞれのケースで、理論株価で投資する場合の期待リターンは年率5%だ。

日本の人口が減ることも、日本経済が低成長であることも、多くの人がすでに知っていることだ。

株式投資家は低成長を嘆く必要はない。

むしろ、日本経済に対して過剰な悲観がある場合には、これが株価に反映していて、

将来それが修正されて金利+リスクプレミアムよりも高いリターンが期待できる状況があるかもしれない。

米国企業と比較して日本の企業は、株主利益の実現に対して不熱心だとの批判がある。

利益の中から配当や自社株買いなど株主に渡すキャッシュの比率が低いし、ROE(自己資本利益率)も低い。

実質的に身内ばかりの取締役会で経営のチェックが甘いなどコーポレート・ガバナンス(企業統治)が劣っているとも言われる。

「コーポレート・ガバナンスが優れた米国企業の株には投資してもいいが、日本企業の姿勢を見るととても投資する気が起きない」などという投資家もいる。

コーポレート・ガバナンスについては、たとえば社外取締役が本当に企業価値の役に立っているのかなど別途議論したいテーマはあるが、

「株主還元が弱い」、「コーポレート・ガバナンスが株主指向ではない」といった内容はおおむねそのとおりだろう。

投資家にチャンスが大きいのは「ガバナンスダメ会社」

さて、それでは、ガバナンスが優れている企業に投資するほうがいいのか?

株価形成の原理を考えると答えは「ノー」だ。

仮にガバナンスの良しあしが株価に影響するのだとすると、良いガバナンスの会社にはすでに高い株価が付き、

悪いガバナンスの会社には低い株価が付いていると考えられる。

期待されるリターンはおおむね同じのはずだ(理論的には両株式のリスクの違いによって少し差が出る)。

「合理的へそ曲がり」は、もう一歩踏み込んで考える。

ガバナンスのいい会社は、ガバナンスを改善する過程で、改善に伴うリターンをすでに実現しているにちがいない。

これに対して、ガバナンスがダメな会社は、これからガバナンスを改善することによるリターン向上の可能性を残している。